
B型肝炎・C型肝炎は、血液などの体液を介して感染するウイルス性の感染症です。
体液が感染源になるため、「性行為で感染するの?」「ウイルス性の肝炎に感染すると性行為はできない?」と心配する方も少なくありません。
そこでこのページでは、B型肝炎・C型肝炎の感染経路や感染した際の危険性、検査・治療方法などについてくわしく解説します。
目次
B型肝炎・C型肝炎は性行為で感染するのか?
B型肝炎・C型肝炎ともに精液や腟分泌液、血液などが感染源になり得るため、性行為で感染する可能性があります。
特にB型肝炎はC型肝炎に比べて感染力が強く、性行為を行った際の感染リスクが高いので注意が必要です。
一方、血液を介して感染しやすいC型肝炎は、性行為で感染する可能性は低いです。ただし、アナルセックスや生理中の性行為など、粘膜の損傷や出血を伴う可能性がある性行為の場合は、C型肝炎の感染リスクが高まります。
B型肝炎とは?

B型肝炎は、「B型肝炎ウイルス(HBV)」に感染することで発症するウイルス性肝炎です。
感染力が非常に強く、成人感染者のおよそ5%が慢性化して肝硬変や肝細胞がんを引き起こす可能性があります。症状が治まってもウイルスが体内に残りやすく他者にうつしやすいので、早期検査・治療を心掛けましょう。
C型に比べ、感染力が強い点が特徴です。
参考:MSDマニュアル プロフェッショナル版|B型肝炎,急性
厚生労働省検疫所FORTH|B型肝炎について(ファクトシート)
B型肝炎の症状
B型肝炎の主な症状は以下の通りです。
- 倦怠感(身体のだるさ)
- 黄疸(白目や肌の黄ばみ)
- 嘔吐
- 食欲不振
- 発熱
- 悪心(吐き気) など
性行為以外の感染経路
B型肝炎は性行為による感染以外にも、使用した注射器の使い回しやウイルスに汚染された輸血などで感染する可能性があります。
ただし、衛生環境が整った現在の日本では輸血による感染リスクはほぼありません。性行為による感染リスクが高いです。
また、妊娠した母体から胎児にウイルスが感染する、母子感染(垂直感染)も感染経路の1つです。
C型肝炎とは?

C型肝炎は、「C型肝炎ウイルス(HCV)」に感染することで起こる肝臓の炎症です。
感染力はそれほど高くないものの、感染した場合B型に比べて重症化しやすいという特徴があります。
感染者のほとんどは無症状といわれており、場合によっては長期間、感染に気づかない人もいるほどです。
潜伏期間を経てC型急性肝炎を発症した場合、約75%が慢性化するといわれています。そのうち20~30%の人は、肝硬変まで症状が進行します。肝硬変を患った結果、幹細胞がんを生じるケースも珍しくありません。
参考:MSDマニュアル プロフェッショナル版|C型肝炎,急性
厚生労働省検疫所FORTH|C型肝炎について(ファクトシート)
C型肝炎の症状
C型肝炎の主な症状は以下の通りです。
- 灰白色便(白い大便)
- 黄疸(白目や肌の黄ばみ)
- 腹痛(肝臓部分)
- 暗色尿(濃い色の尿)
- 食欲不振
- 嘔吐
- 発熱
- 関節痛
- 吐き気 など
性行為以外の感染経路
C型肝炎の感染経路は、B型と同様に性行為や汚染された注射器の使い回し、安全ではない輸血などで感染します。
B型に比べ性行為による感染確率は低いです。ただし、出血の可能性があるアナルセックスや生理中の性行為は、感染リスクが高まります。
また、母子感染のリスクもあります。
B型肝炎・C型肝炎の危険性

肝炎は一時的な症状である急性を経て、継続的に症状が続く慢性へと発展します。また、慢性肝炎は肝硬変へと進行し、最終的には幹細胞がんを生じ命に関わる可能性が高いので、放置は非常に危険です。
特にC型肝炎はB型肝炎に比べ、慢性化するリスクが高いとされています。
急性肝炎 | 症状は一時的で、6カ月以内に治まる |
慢性肝炎 | 肝臓の炎症が6カ月以上続き損傷していく |
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれており、病気になっても自覚症状が出にくいです。そのため、「気づいたときには重症化している」ということも珍しくありません。
感染に気付くのが遅れないよう、コンドームを使用しない性交渉など、リスクのある行動後は自覚症状の有無に関わらず、検査を受けることをおすすめします。
B型肝炎・C型肝炎の予防方法

B型肝炎の予防方法として高い効果を期待できるのが、B型肝炎ワクチンの定期接種です。B型肝炎ワクチンを接種し抗体価を獲得することで、感染や持続感染(長期にわたってウイルスが肝臓に住みついている状態)の予防につながります。
事実、「予防接種を受けた小児の持続感染が1%未満に減少した」というデータもあります。
ただし、ワクチンを接種すれば100%感染を防げるというわけではありません。ワクチンを接種したうえでほかの感染予防対策を行うことが重要です。
一方、C型肝炎ウイルスに有効なワクチンはまだ開発されていません。
そのため、B型肝炎ウイルスの予防接種を受けたうえで、他人の血液や体液に触れないことが何よりも大切です。
肝炎ウイルスへの感染を防ぐために、日頃から以下の感染対策を心掛けてください。
- 性行為の際にはコンドームを着用する
- 性行為の相手を限定する
- むやみに他人の体液や血液に触れない
- 安全性の高い医療機関を利用する
- 個人で注射器具などを使用しない
参考:厚生労働省検疫所 FORTH|B型肝炎について (ファクトシート)
B型肝炎・C型肝炎は性病検査と同時の検査がおすすめ

B型肝炎、C型肝炎ともに、性行為による感染リスクがあります。性病検査と合わせて肝炎ウイルスの感染検査を受けることで、よりくわしく現在の健康状態が確認できます。
ただし、ウイルスに感染した直後は、検査でウイルスや抗体を検出できない期間(ウインドウ・ピリオド)があるので、注意してください。B型肝炎とC型肝炎の検査が可能になるタイミングは、それぞれ以下の通りです。
ウイルスの型 | 検査可能日 |
B型肝炎ウイルス(HBV) | 感染機会の2ヶ月後から |
C型肝炎ウイルス(HCV) | 感染機会の3ヶ月後から |
池袋マイケアヒルズタワークリニックでは、B型肝炎とC型肝炎型肝炎の単品検査が可能です。加えて、HIVと梅毒、B型肝炎の感染の有無を同時に調べられる血液チェックなど、セット検査もあります。ご自身の希望に合った検査メニューをお選びください。
B型肝炎検査3,600円即日6,600円
感染力の強いB型肝炎の単品検査。
- 検査方法
- 血液
- 検査時期
- 感染の機会から2ヵ月経過すれば受けられます。
- 検査結果
- 2~5日後(Web確認可)
C型肝炎検査3,600円即日6,600円
慢性化しやすいC型肝炎の単品検査。
- 検査方法
- 血液
- 検査時期
- 感染の機会から3ヵ月経過すれば受けられます。
- 検査結果
- 2~5日後(Web確認可)
3項目血液チェックセット8,400円
基本的な血液項目をまとめたセット。
- 検査項目
- クラミジア(性器) クラミジア(のど) クラミジア(肛門) 淋菌(性器) 淋菌(のど) 淋菌(肛門) トリコモナス カンジダ 一般細菌 HIV HPV 梅毒 B型肝炎 C型肝炎 マイコプラズマ(のど) マイコプラズマ(性器) ウレアプラズマ(性器) ウレアプラズマ(のど)
- 検査方法
- 血液
- 検査時期
- 感染の機会から2ヵ月経過すれば受けられます。
- 検査結果
- 2~5日後(Web確認可)
時計マークがついているメニューは+3,000円で30分後に検査結果がでます
B型肝炎・C型肝炎の治療方法
B型肝炎を発症してしまった場合は、ウイルスの増殖を直接抑える抗ウイルス薬や、免疫力を高めウイルスを排除するインターフェロン療法による治療が行われます。
現在の医学では、持続感染したB型肝炎ウイルスを体内から完全に排除することは非常に困難です。そのため、 ウイルスの増殖抑制や炎症の鎮静化などを目的にB型肝炎の治療を行うこともあります。
一方C型肝炎の治療は、ウイルスを完全に排除し、肝臓病の進行を止めることが目的であることがほとんどです。直接作用型抗ウイルス薬(DAA)という治療薬の登場により、C型肝炎の重症化率は劇的に低下しました。以前と比べ肝臓のがん化を大きく抑制できるようになり、完治率は上昇しています。
池袋マイケアヒルズタワークリニックでは、B型肝炎・C型肝炎検査で陽性反応が出た方に対して、より詳細な検査や適切な治療が行えるよう、専門医療機関への紹介状をお渡ししています。
性感染症の検査や治療と並行して、B型肝炎・C型肝炎への対処が可能なので、性行為による感染が心配な方はお気軽にご相談ください。
参考:日本肝臓学会B型肝炎治療ガイドライン(第4版・簡易版)
料金表
B型肝炎検査3,600円即日6,600円
感染力の強いB型肝炎の単品検査。
- 検査方法
- 血液
- 検査時期
- 感染の機会から2ヵ月経過すれば受けられます。
- 検査結果
- 2~5日後(Web確認可)
C型肝炎検査3,600円即日6,600円
慢性化しやすいC型肝炎の単品検査。
- 検査方法
- 血液
- 検査時期
- 感染の機会から3ヵ月経過すれば受けられます。
- 検査結果
- 2~5日後(Web確認可)
3項目血液チェックセット8,400円
基本的な血液項目をまとめたセット。
- 検査項目
- クラミジア(性器) クラミジア(のど) クラミジア(肛門) 淋菌(性器) 淋菌(のど) 淋菌(肛門) トリコモナス カンジダ 一般細菌 HIV HPV 梅毒 B型肝炎 C型肝炎 マイコプラズマ(のど) マイコプラズマ(性器) ウレアプラズマ(性器) ウレアプラズマ(のど)
- 検査方法
- 血液
- 検査時期
- 感染の機会から2ヵ月経過すれば受けられます。
- 検査結果
- 2~5日後(Web確認可)
時計マークがついているメニューは+3,000円で30分後に検査結果がでます
来院が難しい方は郵送検査キットがおすすめ
池袋マイケアヒルズタワークリニックでは、距離や時間的な理由で来院が難しい方に向けて、郵送検査キットを販売中です。
ご自宅にいながら性病検査ができるうえ、商材がわからないような梱包を施すなど、プライバシにも配慮しています。
全国どこでも送料無料で、最短で翌日にキットが到着するので、ご来院が難しい方はぜひご活用ください。



B型肝炎・C型肝炎に関するよくあるご質問
HIVに感染すると、B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)に感染しやすくなるというのは本当ですか?
HIVは特定の白血球を破壊し免疫力を低下させるため、感染するとウイルス性肝炎をはじめとした感染症に感染するリスクが上昇しやすくなるといわれています。
また、HIVとHBV・HCVは、どちらも血液や性交渉を介して感染する可能性があり、合併する頻度が高いです。重複感染した場合、肝炎が慢性化しやすくなるだけでなく、症状の進行が早くなったり悪化しやすくなったりなど、さまざまな悪影響が考えられます。
参考:MSDマニュアル 家庭版|ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症
ウイルス性の肝炎は、B型とC型以外の種類もありますか?
ウイルス性肝炎は、A型B型C型D型E型の5種類があり、それぞれ原因となるウイルスや感染経路が異なります。中でもB型とC型は、性行為による感染リスクがあります。
肝炎の治療中にお酒を飲んでも大丈夫ですか?
アルコールは肝機能を低下させ、肝炎の進行を早めるリスクがあります。肝炎の治療中は原則として飲酒は控えてください。
肝炎になったら性行為はできませんか?
B型肝炎、C型肝炎は性行為により感染するので、治療が完了するまで性行為は控えてください。
また、B型肝炎ウイルスは感染すると体内に残り続けるため、治療を終えてもコンドームの使用が求められます。さらに、アナルセックスや生理中の性行為などは、血液に触れやすく感染リスクが高いので、避けた方が良いです。
肝炎の治療中および治療後の性行為については、担当の医師の判断を仰いでください。