
性病は、原因となる細菌やウイルスに感染してから症状が発症するまでに期間があります。
この期間を潜伏期間といい、病気の種類によって長さが異なります。感染から数日で発症する病気もあれば、数カ月から数年もの間、症状が出ない病気もあるのです。
潜伏期間中でも、病原体は体内で増殖を続けます。そのため、症状が出ていなくても、他人へ病気を感染させてしまう可能性が非常に高いです。
このページでは、性感染症の潜伏期間や検査時の注意点などについて解説します。
目次
性病の潜伏期間と検査可能時期とは

性病には、「潜伏期間」と「検査可能時期」があります。
潜伏期間とは、原因となる細菌やウイルスに感染してから症状が現れるまでの時間です。潜伏期間の長さは感染した病気の種類や、個人の健康状態、免疫力などによって異なります。
検査可能時期とは、精度の高い検査結果が得られるようになるまでの期間のことです。感染症には、病原体に感染してから病原体や抗体を検出できるようになるまでの期間(ウインドウピリオド)があります。
この期間中に検査をすると、細菌やウイルスに感染していたとしても、結果は陰性になってしまいます。
正確な検査結果を得るためには、ウインドウピリオドを過ぎてから検査を受ける必要があるのです。
主な性病の潜伏期間と検査可能時期
病名 | 潜伏期間 | 検査可能時期 |
梅毒 | 3週間程度 | 感染機会から2~4週間程度 ※検査内容によっては4~6週間程度 |
クラミジア | 1~3週間 | 感染機会の翌日から |
淋病 | 2~7日程度 | 感染機会の翌日から |
HIV/エイズ | 数年~十数年 | 感染機会から3カ月以降 |
カンジダ | 1~7日(数年のことも) | 感染機会の翌日から |
トリコモナス | 10日前後(個人差大) | 感染機会の翌日から |
ヘルペス | 2~10日間 | 症状がある場合翌日から |
尖圭コンジローマ | 3週間~8カ月 | 症状があれば診断可能 |
マイコプラズマ | 1~5週間程度 | 感染機会の翌日から |
ウレアプラズマ | 1~5週間 | 感染機会の翌日から |
B型肝炎 | 1~6カ月 | 感染機会からおよそ60日 |
C型肝炎 | 2週間~6カ月 | 感染機会からおよそ3カ月 |
参考:日本感染症学会|性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016東京都感染症情報センター|ウイルス性肝炎 Viral hepatitis (A型・E型肝炎を除く)大阪市|肝炎ウイルス検査について
梅毒の潜伏期間と検査可能時期
〔潜伏期間〕
梅毒の潜伏期間は、基本的に3週間程度です。ただし、この時期には「痛み・痒みのないしこり」が現れるだけで、それも自然に消えてしまうケースが多いため、梅毒の感染に気づかない人も少なくありません。
全身に赤い発疹ができ始める、12週間後(2期)になってから感染を自覚する人もいます。
〔検査可能時期〕
梅毒の主な検査方法は、「RPR検査(Rapid Plasma Reagin test)」と「梅毒TP検査(梅毒トレポネーマ抗原法)」の2種類です。
RPR検査は、梅毒に感染すると体内で生産される「脂質抗原(カルジオリピン)」という抗体を検出する検査です。感染機会から2~4週間以降は正しい結果が得られます。
梅毒TP検査は、梅毒の原因である梅毒トレポネーマに感染した際に作られるTP抗体の有無を調べる検査です。感染機会から4~6週間経てば、正しい結果が得られるようになります。
TP検査では、感染した過去があると、たとえ治療後であっても陽性判定がでることも珍しくありません。RPR検査とTP検査を組み合わせることで、現在の感染状況をより正確に把握できるようになるのです。
クラミジアの潜伏期間と検査可能時期
〔潜伏期間〕
クラミジアの潜伏期間は1~3週間程度です。ただし、複数の部位に同時に感染した場合、部位によって症状が現れるタイミングが異なることがあります。
〔検査可能時期〕
感染機会の翌日から精度の高い検査結果が得られます。性別や感染部位により検査方法が異なります。
淋病の潜伏期間と検査可能時期
〔潜伏期間〕
通常2~7日の潜伏期間を経て、男性は淋菌性尿道炎、女性は子宮頸管炎が症状として現れます。また、喉に感染すると咽頭淋病を引き起こします。
〔検査可能時期〕
感染機会の翌日から精度の高い検査結果が得られます。淋病は性器や喉のほか、直腸や目に感染することもあり、感染した部位により検査内容が異なります。
HIV/エイズの潜伏期間と検査可能時期
〔潜伏期間〕
HIV感染初期の症状は、風邪やインフルエンザに似ており、感染後2〜3週間程度で発症します。その後、自覚症状がほとんど現れない無症候期が数年~10年程度続き、その間に体内で増殖したHIVが、免疫細胞を破壊していきます。
〔検査可能時期〕
HIV/エイズの検査方法は、「スクリーニング検査」と「確認検査」の2段階で行われます。
ウインドウピリオドを考慮し、感染機会から3カ月以上経過した後の検査が推奨されています。まずスクリーニング検査を行い、そこで陽性が出たら確認検査で感染の有無を判断します。
カンジダの潜伏期間と検査可能時期
〔潜伏期間〕
カンジダの潜伏期間は、一般的に1~7日程といわれています。ただし、カンジダは人間の皮膚や体内に存在する常在菌が原因なので、潜伏期間の定義が難しいです。
〔検査可能時期〕
感染機会の翌日から精度の高い検査結果が得られます。
女性は膣分泌物(おりもの)の検査、男性は尿検査を行うほか、性器周辺の皮膚に症状が出ている場合は、皮膚細胞を採取して検査します。
トリコモナスの潜伏期間と検査可能時期
〔潜伏期間〕
トリコモナスの潜伏期間は10日前後です。
しかし、潜伏期間は個人差が大きく、感染後6カ月経ってから症状が出る方や、症状が出ない方も少なくありません。特に男性は、無症状のケースが多いとされています。
〔検査可能時期〕
感染機会の翌日から精度の高い検査結果が得られます。男性は尿検査を、女性は腟ぬぐい液検査を行います。
性器ヘルペスの潜伏期間と検査可能時期
〔潜伏期間〕
単純ヘルペスウイルスに感染してから発症するまでの潜伏期間は、2~10日です。
症状の個人差が大きく、無症状や軽い違和感のみで自然に消えたりするケースもあります。
〔検査可能時期〕
性器ヘルペスは見た目が特徴的なため、症状があれば視診による診断が可能です。
尖圭コンジローマの潜伏期間と検査可能時期
〔潜伏期間〕
尖圭コンジローマの原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)に感染すると、3週間~8カ月、平均して2~3ヶ月程度で症状が現れます。
〔検査可能時期〕
尖圭コンジローマはイボが特徴的なため、視診が主な検査方法です。そのため、症状が現れなければ、検査は行えません。
マイコプラズマの潜伏期間と検査可能時期
〔潜伏期間〕
マイコプラズマ感染症の潜伏期間は、一般的に1~5週間程度といわれています。しかし、感染直後から症状が出ることがあることもあれば、まったく症状が現れないケースなどもあります。
〔検査可能時期〕
感染機会の翌日から精度の高い検査結果が得られます。
ウレアプラズマの潜伏期間と検査可能時期
〔潜伏期間〕
ウレアプラズマ感染症の潜伏期間は、1~5週間です。
〔検査可能時期〕
感染機会の翌日から精度の高い検査結果が得られます。
B型肝炎・C型肝炎の潜伏期間と検査可能時期
〔潜伏期間〕
B型肝炎の潜伏期間は1~6カ月、C型肝炎は2週間~6カ月です。
〔検査可能時期〕
B型肝炎は、感染機会からおよそ2カ月、C型肝炎は感染機会からおよそ3カ月以上経過した後の検査が推奨されています。
潜伏期間中の注意点

潜伏期間はあくまでも症状が出ない期間であり、「他人に感染させる可能性はある」という点に注意しましょう。潜伏期間中の性行為によって、相手に性病をうつしてしまうリスクは十分にあります。
また、潜伏期間中の性行為で、相手にほかの性病をうつされる可能性もあります。複数の病気に感染(重複感染)すると、治療が長引く傾向にあるため、注意が必要です。
早期発見・早期治療のため、不安がある場合は症状が現れていなくても、性病検査・治療専門の医療機関で検査を受けましょう。
池袋マイケアヒルズタワークリニックの検査
池袋マイケアヒルズタワークリニックでは、さまざまな性病の検査・治療メニューをご用意しています。
性病は、「症状が出て検査したときには、すでに病気が進行していた」「潜伏期間内に性行為をして、他人に感染させてしまった」というケースも珍しくありません。
定期的に検査を受けるなどして、潜伏期間中に感染を把握することが、治療の観点からも感染拡大の防止の観点からも、非常に重要です。
自社ラボおよび専用の検査室を持つ当クリニックでは、潜伏期間中であっても精度の高い検査が可能です。
料金表
7項目安心フルチェック17,600円
性器、のど、血液の性病感染を検査するセットです。
- 検査項目
- クラミジア(性器) クラミジア(のど) クラミジア(肛門) 淋菌(性器) 淋菌(のど) 淋菌(肛門) トリコモナス カンジダ 一般細菌 HIV HPV 梅毒 B型肝炎 C型肝炎 マイコプラズマ(のど) マイコプラズマ(性器) ウレアプラズマ(性器) ウレアプラズマ(のど)
- 検査方法
- 男性:尿、血液、うがい液
女性:腟ぬぐい液、血液、うがい液 - 検査時期
- 感染の機会から2ヵ月経過すれば受けられます。
- 検査結果
- 2~5日後(Web確認可)
来院が難しい方は郵送検査キットがおすすめ
池袋マイケアヒルズタワークリニックでは、距離や時間的な理由で来院が難しい方に向けて、郵送検査キットを販売中です。
ご自宅にいながら性病検査ができるうえ、商材がわからないような梱包を施すなど、プライバシーにも配慮しています。
全国どこでも送料無料で、最短で翌日にキットが到着するので、ご来院が難しい方はぜひご活用ください。
感染の機会からすぐに受けられます。

感染の機会からすぐに受けられます。

よくある質問
潜伏期間中でも、感染を広げてしまう可能性はありますか?
潜伏期間中でも体内に病原体は存在しているため、性行為をすることで感染を拡大させてしまう恐れがあります。コンドームを着用せずに性行為をしたなど、感染リスクのある行動を行った場合は、症状の有無にかかわらず、検査を受けましょう。
潜伏期間中でも検査はできますか?
はい、潜伏期間中であっても検査は可能です。ただし、体内に病原体が存在していても検出されにくい期間(ウインドウピリオド)は、正確な検査結果が得られないこともあります。
症状が現れていない場合は、感染機会からの経過日数も考慮して、検査を受けましょう。
性病によって潜伏期間が違うのはなぜでしょうか?
病原体によって、増殖や発育の早さに違いがあるからです。一般的に、増殖は発育が早いほど潜伏期間は短くなる傾向にあります。