
性病の薬は役割によって、大きく「治療薬」と「予防薬(ワクチン)」の2種類に分けられます。
治療薬としては主に抗生物質や抗ウイルス薬が使われ、内服薬や外用薬だけでなく、点滴や注射、女性向けの膣錠などさまざまな剤形があります。
主な予防薬は、「Doxy PEP(ドキシペップ)」と「PrEP(プレップ)」の2種類。ワクチンはHPVワクチン、淋菌ワクチン、肝炎ワクチンの3種類があります。
この記事では、性病の治療薬と予防薬・ワクチンについて、それぞれの効果や副作用、使用時の注意点などをわかりやすく解説します。
目次
性病治療薬について

薬には、ドラッグストアなどで購入できる「市販薬(OTC医薬品、大衆薬)」と、購入のために医師の診察が必要な「処方薬(医療用医薬品)」が存在します。
性病の治療薬はどれも処方薬なので、ドラッグストアで手に入れることはできません。加えて、性病は基本的に自然治癒することがないので、性病を治すためには医療機関での治療が必要です。
〔薬で治療できる性病一覧〕
- 梅毒
- クラミジア
- 淋病
- カンジダ
- トリコモナス
- 性器ヘルペス
- 尖圭コンジローマ
上記の病気について、治療期間や副作用例を紹介します。
※治療期間・副作用には個人差があります
梅毒の治療薬
治療薬の種類 | 内服薬、注射 |
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治療期間 | 梅毒1期:薬物療法 2~4週間 梅毒2期:内服治療 4~8週間 ※治療期間は病期(1期~3期)で異なります。 |
副作用例 | ・内服薬 下痢、軟便、味覚異常、浮腫、発疹、熱感、AST上昇、ALT上昇、好酸球増多、食欲不振 など ・注射 壊死、過敏症、皮疹、斑状丘疹状皮疹、剥脱性皮膚炎、蕁麻疹、喉頭浮腫、浮腫、発熱、血清病様反応、悪寒 など |
クラミジアの治療薬
治療薬の種類 | 抗生剤 |
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治療期間 | 性器:1日(1回の服用) のど、肛門:3日 ※服用から3週間後の再検査で陰性なら治療完了 |
副作用例 | 下痢、腹痛、悪心、嘔吐、腹部不快感、腹部膨満、発疹、じんま疹、そう痒症、疼痛、好酸球数増加、ALT増加、カンジダ症 など |
淋病の治療薬
治療薬の種類 | 抗生物質、筋肉注射、静脈注射、内服薬、点滴など |
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治療期間 | 通常1〜7日間 完治の確認に2〜3週間ほど要する |
副作用例 | ・点滴薬 発疹、じんま疹、そう痒症、発熱、好酸球増多、貧血、下痢、腹痛、嘔気、嘔吐 など ・内服薬 下痢、腹痛、悪心、嘔吐、腹部不快感、腹部膨満、発疹、じんま疹、そう痒症、疼痛、好酸球数増加、ALT増加、カンジダ症 など |
カンジダの治療薬
治療薬の種類 | 性器:軟膏、内服薬、膣錠(女性)口内:うがい薬、塗り薬、内服薬 |
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治療期間 | 通常1週間前後 |
副作用例 | ・膣錠 局所の熱感、刺激感、発赤・紅斑、そう痒、疼痛、発疹 など ・軟膏 発赤・紅斑、そう痒感、 乾燥・亀裂、丘疹、接触性皮膚炎、びらん、刺激感、小水疱、落屑、腫脹 など |
トリコモナスの治療薬
治療薬の種類 | 内服薬、膣錠 |
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治療期間 | 1日2錠の服用を10日間続ける 約3週間後の再検査で陰性が確認されれば完治と判断 |
副作用例 | ・内服薬 発疹、舌苔、食欲不振、悪心、胃不快感、下痢、腹痛、味覚異常、ALT上昇、発熱 など |
性器ヘルペスの治療薬
治療薬の種類 | 内服薬、軟膏 |
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治療期間 | 初発:1~2週間 再発:1週間以内 |
副作用例 | 腹痛、下痢、腹部不快感、嘔気、頭痛、めまい、腎障害、肝機能検査値の上昇 など |
尖圭コンジローマの治療薬
治療薬の種類 | 外用薬 |
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治療期間 | 1日おきの塗布を最大16週間 |
副作用例 | 紅斑、びらん、表皮剥離、乾燥、小水疱、亀裂、出血、硬結、丘疹、頭痛 など |
治療薬を使用する際の注意点
性病の治療薬を服用する際は、医師の指示を守り、自己判断で服用を中断したり量を調整したりしないよう注意してください。そのうえで性行為を控え、パートナーと一緒に検査を受けることをおすすめします。
また、副作用が出ることがあるため、体調の変化に注意し、不安なことがあれば医師に相談しましょう。
処方薬購入の流れ
処方薬は、その効果の高さから厳しく管理されており、入手するには医師に診察してもらう、診断のうえ処方箋を出してもらう必要があります。
処方薬購入の流れは、以下の通りです。
1.診察
病院で医師が問診や身体的な観察を行い、情報を収集します。
2.検査
診察だけでは判断が難しい場合、必要に応じて各種検査を行います。
3.診断
情報を総合的に分析・判断し、医師が病名を特定します。
4.処方
診断された病気に基づき、適切な薬剤が処方されます。
性病予防薬・ワクチン

性病の予防薬は、梅毒とクラミジア、淋病に対して予防効果がある「Doxy PEP(ドキシペップ)」とHIVへの感染リスクを低減する「PrEP(プレップ)」の2種類です。
また、池袋マイケアヒルズタワークリニックでは、HPVワクチン、淋菌ワクチンの2種類のワクチンを提供しています。
性病予防につながる上記の薬剤の概要や副作用について解説します。
※効果・副作用には個人差があります
性病予防薬Doxy PEP(ドキシペップ)
性行為後72時間以内に服用することで、梅毒・クラミジアを90%程度、淋病を60%程度の確率で予防できる性病予防薬です。
ただし、性行為後72時間を超えた場合は予防効果が保証できないので、医療機関で検査のうえ医師の診断に従ってください。
〔副作用〕
下痢、吐き気、めまい など
HIV感染予防薬PrEP
HIV感染のリスクを大幅に低減できる曝露前予防内服薬で、ウイルスの体内への侵入を防ぎます。正しく服用すれば、性行為によるHIV感染リスクを99%低減することが可能です。
1日1回服用する「デイリーPrEP」と、特定のタイミングで服用する「オンデマンドPrEP」の2種類があります。
〔副作用〕
頭痛、下痢、嘔吐 など
※PrEPの服用には、HIV、B型肝炎、腎機能の検査が必要です。
※PrEPの検査後、処方までに1週間程度かかります。
HPVワクチン
日本では高リスクの型に対応した、価数(※)の異なる3種類のHPVワクチンが承認されています。防ぐことができるHPVの型によって、2価ワクチン(サーバリックス)、4価ワクチン(ガーダシル)、9価ワクチン(シルガード9)という3種類が存在します。
日本では、小学校6年生から高校1年生相当の女子を対象に公費で接種可能です。一方、男性は任意ですが、ワクチンの接種が推奨されています。
(※)価数:ワクチンが防ぐことができるウイルスの種類数
〔副作用〕
疼痛、発赤、腫脹、疲労、掻痒、腹痛、筋痛、関節痛、頭痛 など
淋菌ワクチン
これまで「予防が難しい」とされてきた淋病ですが、髄膜炎菌B型のワクチンが淋菌への感染予防効果があることが分かりました。2回接種することで、2~3年の間、淋菌の感染を30~40%の確率で予防することができます。
〔副作用〕
腕の痛み、発熱、疲労感 など
肝炎ワクチン
B型肝炎の予防方法として高い効果を期待できるのが、B型肝炎ワクチンの定期接種です。感染や持続感染(長期にわたってウイルスが肝臓に住みついている状態)の予防につながります。肝炎ワクチンはA型とB型の2種類で、C型肝炎ウイルスに有効なワクチンはまだ見つかっていません。
※池袋マイケアヒルズタワークリニックでは、B型肝炎ワクチンの取り扱いはありません
〔副作用〕
注射箇所の赤み、腫れ、しこり、痛み、発熱 など
池袋マイケアヒルズタワークリニックの特徴
池袋マイケアヒルズタワークリニックでは、性病の検査・薬の処方を行っています。
「パートナーが感染した」「もしかして自分も感染したかも…」と不安を抱えている方は、お気軽にご相談ください。
〔当クリニックの特徴〕
- 匿名で検査・治療が可能
- 保険証不要
- 全席個別ブース完備
- 池袋駅から徒歩0分の好アクセス
- 即日結果がわかるスピード検査にも対応
相談だけでも結構なので、感染の疑いがある方はぜひお越しください。
よくある質問
性病の薬だけもらうことは可能ですか?
一切検査を受けず、性病の薬だけ購入することはできません。
ただし、ほかの医療機関で検査を受けた場合は、検査結果を提出いただくことで薬のみの処方は可能です。他院でも検査を行っていない場合は、当クリニックで検査を受けていただいたうえで薬を処方します。
HPVワクチンの「価」とは何ですか?
ワクチンの「価」とは、そのワクチンが予防できるウイルスの種類の数です。例えば、2価であれば2種類の型のウイルスを、4価であれば4種類の型のウイルスの感染を予防することができます。
薬を飲めば症状は改善しますか?
基本的には改善が見込めますが、場合によっては症状が改善しないケースもあります。
もし薬を飲んでも症状に変化がないようなら、以下のような理由が考えられます。
・治療対象以外の病原体の重複感染
・耐性菌の発生
・ピンポン感染(パートナー間で繰り返す再感染)
再検査で菌が検出された場合、治療を見直す必要があるので医師の判断に従ってください。